芯と勘 [経営]

8月の月例経済報告で、「景気は、着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる。」と発表された。しかし、国内で多数を占める中小企業にとっては「アベノミクス」「日銀効果」が実感できないと言う声が多く聴かれる。「いつになったら忙しくなるんかね」「もうしばらく辛抱すると自分の所へも仕事が回ってくるかね」と時々聞かれることがある。その時はこう答えます。「いつまで待っても 以前のように大手が忙しくなって、その後我々中小企業に仕事が回ってくるということはないですよ」と。ピラミッド構造をしていた一昔前の製造業では、上から下へ仕事が回ってきたものであるが、その構造自体が消滅してしまった以上、今その期待は薄いと言わざるを得ない。大型予算が組まれたアベノミクスは、上の方で水平に動いているのです。
あるコンサルタント会社の社長さんに個人的に「世間はどうですか、どの業界が忙しくなるのですかね」とお聞きしたところ、「いつの時代もどんなに忙しい業界でも暇な会社はあり、どんな景気の悪い時代でも、業績を伸ばす企業はあるものです。」と言われました。景気のいい業界にいるかどうか、今国内景気がいいか悪いかを一喜一憂している暇があれば、お客様のところに行き、色々な人たちと出会える場に行き、話を聞き、自らの考えを振り返り深めることに時間を費やすほうが数倍ましなのです。
又、ある日、昔 林業に携わっていたお爺さんと立ち話をしてお聞きしたことです。「戦後植えた木を切る時、もう少し太くなったら縦柱が4本とれると欲の皮突っ張らしてできた柱は、将来必ずひずみが出るのじゃ。それはな、芯をはずして使っているからなのじゃ。大きくすることだけがいいのではない。大事なことは真ん中に芯が通っているかどうかなのじゃ」含蓄の深い言葉でした。売上を上げるためについあれもしてこれもしてと、商品アイテムを増やしたりして手を広げがちですが、そのお爺さんの言葉通り芯をはずして広げてはいけないのです。広げることよりまず自社の強みを何に絞り込むかということが大事であり、その答えを教えて頂けるのはお客様であり、まったく異業種の方との話の中にヒントがあるはずです。あふれる情報の中で絞り込む、芯を見つけることは情報がありすぎるからこそ一昔前より大変かもしれません。最後に前国連難民高等弁務官であった緒方貞子さんの言葉を紹介します。「リーダーの使命は決めることです。色々な人の話を聞いて、それらの話を総合的に考え、どの方法が人々の幸せにつながるかを基準にして決断します。そして最後の最後の判断基準は勘です。」
何が自社の芯なのか、何が自社の強みなのか、色々な人と話してもなかなか解らない時はエイヤーと勘できめてしまうことですね。

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