生き残る企業 [経営]

大阪の河内長野の地場産業が爪楊枝製造である事をご存知でしょうか。あるというよりあったという方が正しいのかもしれない。現在爪楊枝を製造しているのは河内長野市でも1社しかない。いや、日本でもその会社がただ1社残っているのみである。その会社の名は「株式会社広栄社」。創業大正6年、現在4代目の方が継いでいる。最盛期にはこの地域で作っている爪楊枝のシェアーは国内の96%、世界でも50%以上であった。

しかし、安い中国製品に押されて、現在では広栄社1社になってしまった。その前社長稲葉修氏とその会社を訪問してお話させていただいたことがある。爪楊枝はなぜ丸いのか、それは作りやすいからだそうである。使い捨て故、安く安くを追求して形は丸く、生産は中国でとなっていった。しかし、丸いのは本来「カクテルピィック」といって、果物等を刺すためのもので、歯に用いるのは歯のすき間に合わせた三角形をしているのが正しいのであり、ヨーロッパでは当たり前のことが、日本では激烈な価格競争のため丸になってしまったようである。

広栄社では、その三角楊枝を生産し、北欧に輸出までしている。その社屋は今も木造板張りの会社で、利益を生まない建物等へは極力コストをかけないようにされている。1本1円もしない製品で何銭・何厘の競争を経験してきたからこそ無駄を省く意識が高いように感じた。その三角楊枝も丸に比べて製造コストが高くつくため、以前は三角柱の形をしていたが、歯に当たる部分だけ三角形で持つところは丸といった形に進化させ、製造コストを下げている。これ以上のコスト削減は無理と考えるのではなく、もっとコスト・経費削減はできないかと常に考えておられる結果であろう。
 
 利益は会社を維持するための必要条件である。利益を出すにはいうまでもなく、売上を上げるか、仕入れ価格を下げるか、粗利率を上げるか、そして経費を下げるかこの4つしかない。安倍政権になって、景気は回復してきたといわれる中で、それを実感できない我々中小企業では、上記の売上を伸ばすのもままならず、デフレ脱却も目指すアベノミクス効果で、仕入れ価格・経費も上昇してきては利益を出すことすら難しくなってきている。即、利益に結びつくのは固定経費削減であり、雇用を守るためにも1円でも10円でも削減に取り組まなければならない。「たったそれくらい」と考えては絶対できない。たったそれくらいでも思いついたら即実行する。やり続けることで、固定費であるので毎月確実に減り、塵も積もればである。何より社内に無駄を省こうという習慣をつけることが大事なのである。

先に書いた広栄社でも、無駄な経費は徹底して省いておられるが、地域貢献、社会貢献には積極的に関わっておられ、地元の小学校の社会科の教科書にも紹介されていて、社員が誇りを持って働いている会社になっているのである。

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