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<時流を読む> [経営]

毎年1月5日、弊社は新年ミーテイングと称して午前中会議を行います。各自が上半期の反省と後半の計画修正を発表するのですが、メインはトップが今起こっていること、これから起こるであろうと思う事を予測し、それに対応するには何が必要か、どんなことをしていくべきなのかを正月休みの間にじっくり考え、社員に伝えることだと考えています。

時代の流れを読み解くことなど誰もできないのはわかっていますが、それでも経営者は考えなければならないのです。流れに身を任せていれば成長する時代は終わったことだけは誰もが認める自明の理なのですから。

第2次大戦後、焼け野原になった日本が復興していく姿は、まさに「3丁目の夕日」の映画の世界でした。あれが欲しい、これもしたい、もっと働いて家族を幸せにしたい、目標が単純明快でした。それが高度成長をもたらし、1964年東京オリンピックの年にまさに花開き、先進国の仲間入りをしていきました。その後、平成の世になって「戦後は終わった」といわれ、先進国から成熟国になっていったのです。
先進国の時はまだ経済成長するのではという希望が持てましたが、成熟国になると周知のように低成長時代になりました。今更、過去のように高度経済成長は望むべくもありません。今、低開発国と言われる国々が急激な高度成長をしているのは、まさに日本の戦後の一時期を見る思いです。その時代は原材料により近い企業が収益を上げていました。過去の一時期「松下電器産業」は安売り家電量販店には商品を販売しないと言っていましたが、これはメーカー(川上)が強い時代の象徴的な言葉です。しかしその数年後、急激な販売・流通の変化の波にのまれ、今ではどこの量販店でもすべてのメーカーの電気製品が並んでいます。これは、消費者により近いところ(川下)が強くなってきた証拠です。成熟国になると、川上より川下、より消費者に近いところの企業を社会がより必要としてきたのです。

こういったことも踏まえ、弊社も原材料のみの販売から、少しでも川下に近付くために、材料に加工を施した半製品や、レーザー加工機による完成品の販売を手掛けるように舵を切りました。まだまだ道半ばにも至っていませんが、方向は正しいと思っています。

 このように、大きな方向を見定めて舵を切るか切らないかは、舵を握っている船長にしかできないのです。そしてその船には、その船を動かしている社員が一緒に乗っていて、又、その社員の家族、船長の家族まで乗っているのですからその責任は重大です。

「時流を読む」ために必要なことは2つです。一つは色々な人の話を素直な気持ちで聞くこと、そのためにそういった場に積極的に出向くことです。その中にはお客様のもとに行って「注文下さい」と言いに行くのもいいでしょうが、じっくりとトップの方のお話を聞くことも入っています。そしてもう一つは本を読むことです。どんな本を読んでいいかわからないときは、それも色んな人に「最近読んで面白かった本はなんですか」と聞けばいいのです。読み終わっていて了解が得られればその方から借りて読めばいいのです。ITを駆使すれば本の紹介の情報などはあふれかえっています。

低成長時代はライバルとの激戦の時代ともいえます。そうした荒海の中、目指すべき港は決まっています。「社員や取引先様、そして家族が幸せになる港」です。その港に向かうのに、どの方法で潮流を乗り切っていくのか、後は自分の頭で考え行動に移すのが経営者の役割です。

商は正なり [八百屋マン・マーケット]

消費者と直接話せる「八百屋マン・マーケット」の取り組みは、色んな意味で経営の勉強になる。

先日、とうもろこしを販売していて、あるお客さんに「これ甘い?」と聞かれた。
『まだ食べてないからわかりません』
「そしたらやめとこかな」
その時、午前中販売している時、1本皮をむいたら、少ししなびていたので売り場から下げたトウモロコシがあったことを思い出した。
『そうや、あれちょっと食べてみましょう』と言ってお客さんと一緒に少し食べてみた。
「甘いね、いけるね」ということになって、結局1本買うはずが残っていた2本とも買って頂いた。
おまけに売り場から下げていたトウモロコシをお付けしたところ
「初めてきたけど、ここ、いつやっているの?また来ます」と言って帰られた。

「商は正なり」(商売は正直が大事)
正直な商いが信用を築き、顧客を増やしていくのでしょう。
どんな商売でも基本は同じです。

公共交通腹立ち考 [エッセイ]

先週書いた北陸新幹線開通に伴い、従来の北陸線は4つの第3セクターに分けられました。
JR東海から分かれ、県と市で独自に運営管理し、民間の知恵を入れて利益を上げてくださいということです。その路線だけをみるともともと赤字であり、JR東海にとっては切り離すことで、儲かる新幹線路線だけを残し効率経営としてはいいのです。しかし、その地域の住民から見ればどうでしょう。運賃は値上がりし、車両数は減らされたために、朝夕の混雑は増し、乗降客の少ない日中は本数が減り、非常に不便になったそうです。
長野新幹線が開通した時も、横川、軽井沢間が廃線になり、峠越えの本数の少ないバスに切り替わりました。群馬県と長野県は分断され、あくまで都会と観光地を結ぶことを中心に考えられてきているように思います。
「東京から金沢まで2時間28分で行ける」ことばかりマスコミで言われ、都会と地方が直線で結ばれ、ますます都会と地方の格差が広がっていくように感じます。

大阪市内でも、赤バスが赤字と言う理由で廃止され、福祉バスも切り捨てられようとしています。
市バスも、鉄道も公共の乗り物です。
それらの存在理由はどこにあるのでしょう。
赤字か黒字かという判断基準で経営を考えるのではなく、運営を考えなければならないのではないでしょうか。

豪華な乗り物 [エッセイ]

二つの豪華寝台特急が姿を消し、北陸新幹線が新たに登場しました。
北陸新幹線も豪華な座席がついていますが、話題になることは少なく、東京から金沢まで2時間半弱で着き、富山、金沢の地域の活性化が話題の中心です。
寝台特急は、それに乗ることが目的であり、降車駅までの経過を楽しむのが旅の主眼であったように思われます。
大阪から関東地方へ行くのに、サンダーバードで金沢まで行き、そこで新幹線に乗り換えて関東地方へ行くという選択肢も生まれました。約5時間で、従来の東海道新幹線を利用するより、倍の費用と時間がかかりますが、途中下車して北陸や、立山・黒部を楽しんで関東へ向かうということも可能になってきましたね。
旅の目的がなにか、時間を買うのか、楽しさを買うのか、それによって乗り物を何にするのか、どのようなルートを通るのか変わってきますね。

新規開拓 [経営]

何にもしないで、ただ相手から注文が来るのを待っているだけでは、年間5%ずつ売り上げは減少する、と言われる。高度成長時代はその逆であったが、減速経済の状況下では、ライバルに取られたり、得意先が廃業したりして減っていくのである。昨今ではそのスピードが10%という人もいる。

会社を維持させるには、それなりの利益がいる。
利益を確保するには、まず売り上げが立たなければ利益は存在しえない。

そうした状況下で売り上げを維持させる方法としては、一つに新規開拓がある。
たまたまの出会いもありヒットになる確率もあるが、その確率は低い。しかし、ゼロでないことも確かである。
だから、訳のわからないところから、電話だけの売り込みがあったりするのである。

新規開拓にも、従来の職種での新規開拓と、新しい業界への新規開拓がある。
新規事業を展開し、新しい業界に開拓販路を広げていく、それを今までの販路に拡げていく、
今までの事業を新しい業界に拡げていく、色々な切り口がある。

営業は、常に新規開拓、新規開発を頭において行動しなければならない。
そうでなければ、座して死を待つことになる。

祭り考 [エッセイ]

昨年末、「アベノミクス」の真偽を問う衆議院議員選挙が行われ、低い投票率の結果、自民党が与党第一党の座をキープしました。政策が承認されたとしていますが、その賛否は別として、しばらく安定与党政治が続く事は確実です。

その政策の中の目玉の一つとして「地方創生」があります。年末年始テレビを見ていると、毎年必ず大晦日の日は、お寺で除夜の鐘を聞き、年が明けると神社で拍手を打つ風景が流れます。外人から見ると日本人の宗教心はどうなっているのか不思議に感じるそうです。

私自身、平野区に住んでいるので、近くの杭全(くまた)神社に元旦早朝お参りに行きます。平安時代の坂上田村麻呂の息子の廣野麻呂(ひろのまろ)がこの地を統治していた為に、後世この地を「平野」と呼ぶようになったという説がありますが、この地では、この杭全神社の祭りがさかんで、岸和田のだんじり祭りと並び、古くから続いている祭事です。
最近、東大阪市などではとみに住工混在が問題視されていますが、この地とよく同列で取り上げられる東京の大田区や墨田区とでは根本的に大きく違う所があります。それは、東大阪市は元々市内にあった工場が手狭になり、東大阪に移っていったという経緯がある為、その経営者はその地域に住んでいない方が多く、大田区や墨田区ではその経営者の方がその地域に住んでいるという点です。先の平野区は、大田区のように大阪市内でも職住一致している地域です。町工場が多く、その経営者は会社から近いその地域に住んでいる方が多く、祭りが続き、盛んなのもそのことと無縁では無いように思います。

色々な地域で独自の祭りが行われる日本。祭りは基本的に神事として行われますが、その祭りの中心人物は若者です。先達(せんだつ)がしきたり、いわれを教え、若者たちがそれにのっとって祭りを行います。このことが地域のコミニュケーションを深め、日常的なその地域の活性化につながっているように思います。このように年に一度といえども祭りの盛り上がっている地方は、他の地方より人口流出が少なく、平均年齢も若干といえども低いのです。地方の町が消えようとする時、その町の祭りはすでに成り立たなくなってきているのです。

活性化するには祭りにおける神社のように核となるものがいります。神社は基本的に敷地内は常に開放されていて、鎮守の森があり自然と共存していて、平等に接してくれます。
会社が活性化するのも同じかもしれません。核になるのは、当然経営者であり、経営理念です。地域に開放されていて、コミニュケーションが取れる関係性があることが大事なことでしょう。

宇崎弘文氏を偲ぶ [エッセイ]

内閣府が発表した7~9月のGDP速報値は、事前の予測では年率換算でプラス2%位と考えられていましたが、発表数値はマイナス1.6%でした。これは前期比(4~6月)ですので、前期が消費税駆け込み需要反動減マイナス1.9%であった事を考えると、大きなマイナスと言えるでしょう。数値は比較する対象、基準となる数値によって大きくぶれたりするので、その点を考慮して考えなければいけないのです。

円安誘導したから、輸出企業の業績が伸び、国内設備投資が増え、社員の給料も上がり、消費が増えるという政府のシナリオは崩れ去りました。確かに大手輸出関連企業の業績は過去最高を記録しましたが、生まれた資金は国内ではなく、海外の設備投資に回され、給与アップの恩恵も円安や天候不順による原材料高、消費財の値上がりで実質賃金がマイナスになって消費が冷え込みました。戦後スキームからの脱却と声高に言っていても、輸出が国内景気を牽引するという考えから脱却できていないようです。

9月18日、一人の経済学者が亡くなりました。その人の名は宇沢弘文。大学では数学を学んだのですが、戦後の荒廃した日本を見て、又、河上肇の「貧乏物語」に触発され、経済学に転向したといわれる経歴の持ち主です。若くしてアメリカの大学に招聘(しょうへい)されて教鞭をとっていましたが、ベトナム戦争で軍需産業が殺戮率(さつりくりつ)を数値化して、効率を追求する姿に嫌気をさし、日本に帰国しました。その後、自動車のコストには、製造原価だけでなく、その後に発生する自動車専用道路の建設費や、排気ガスによる健康被害費用等、自動車を購入しない一般国民まで負担されているその費用も加味すべきという理論を展開し注目されました。

効率化のみを追求し、経済活動は市場原理にゆだねると最適化するというアメリカの新自由主義経済に反発し、空気や水、インフラ、環境、教育、福祉等は市場原理に委ねてはいけないと唱え、ノーベル経済学賞に最も近い人物と言われて続けてきた人なのです。

企業経営も、会社の為、お客様の為にがむしゃらに働いた利益至上主義の時代から、東日本大震災を一つの契機にして、何のために働くのか、会社の存在理由は、といった哲学的命題を問われる時代に入り、地域と共に、お客様と共に、そして社員と共にその取り巻く社会をよくする企業活動の時代に入ってきたように思います。利益を生み出すことは会社を存続させる手段であり、決して目的ではないのです。無駄を省き、一生懸命働き、お客様から適正な販売価格で頂く利益は、経営者を含めて社員の幸福実現のためには必要不可欠なものです。

人間、一生懸命働く姿は美しいのです。

2014-10-13 [八百屋マン・マーケット]

6年前、友人たちと、引きこもっていた若者や、就労困難な人達の就労訓練の場として、野菜や果物の移動販売「八百屋マン。マーケット」と言う取り組みを始めた。
今は、少し形態が変わり、福祉作業所の仕事の一環として、主に買い物に困っておられるお年寄りの多い地域へ出向いての販売として取り組んでいる。
私自身は、毎週金曜日の午前中に仕入れ、昼から仕分け、値付け、土曜日に販売している。
翌週は、仲間の福祉作業所2ヶ所が商品を取りに来て販売する。
おかげで、今、大根がいくらとか、トマトが高いとか、きゅうりは少し下がってきたなとか妻以上にくわしくなった。
消費者の方々と直接触れ合うから見えてくるもの、維持経費を生み出さなければならないからどうすれば利益を上げられるか考えながら運営することから学ぶものが多数ある。
これからそのようなものを伝えて生いたいと考えている。
よろしく。

あなたの会社の強みはなに? [経営]

消費税増税前の駆け込み需要は、以前の5%UPの時よりは感じられず、その割に4-6月の落ち込みが大きいようです。大手は予想以上に少なかったとか、想定内と言っているようですが、中小企業にとっては想定外の需要不足と、想定内の反動減でありました。

7-9月の景気動向を見て、12月に来年度の消費税10%上げをどうするか判断すると言っている安倍内閣。大型補正予算を組み、何が何でも7-9月の景気浮揚を図り、消費税を上げる方向に持っていこうとしています。5%が8%になるより、8%が10%になる方が差が少ないように感じますが、100円の物が税込みで1割上がるとなると、消費者にとっては大きな値上げに感じられます。そうなると、10%前の駆け込み需要は、その前の8%に上がる時に先食いしているので期待できず、反動減だけが大きく来るのではないかと懸念されます。
 
そうした中でも自社の強みを明確にし、その強みを生かす戦略を練り、さらにその強みを磨いて行けば激しい競争も勝ち残れると、一部の経営本には書かれているのを目にします。

あなたは「自社の強みは何ですか?」と聞かれたらどう答えますか。
「納期対応力です」「品質ではどこにも負けません」「価格は同業他社より絶対安いです」
「どこにも出来ない技術を持っています」等々。

私はどれも言えません。大阪市内だけでも同業他社が数百社ある中で、上記のどれも1番だと言える自信はありません。
それなら、お客様はなぜ当社から買って頂いているのでしょうか。こちら側から見るとライバルは数百社ですが、お客様が購入される同業他社は多分数社しかありません。その中で、選んで頂いているのは、お客様A社にとって自社は納期対応力で買って頂いているのかもしれません。又、別のB社様は、他社と比べてクレームが少ない安心な会社として、お付き合い頂いているのかもしれません。そう考えると、A社様から急な納期の注文が入った時は、何が何でも対応しなければ、そのお客様A社にとって自社から購入して頂く理由がなくなってしまうのです。

どこにもない特殊な技術を持つ事は絶対的な強みになるでしょう。そのように日々技術力を磨く事は勿論重要なことです。しかし、本当の強みはお客様が自社を選んで頂いている理由にあるのです。普遍的なもの、絶対的な技術を1つ持つより、個別的な対応力を磨いて行く方が中小企業には手っ取り早いような気がします。


生き残る企業 [経営]

大阪の河内長野の地場産業が爪楊枝製造である事をご存知でしょうか。あるというよりあったという方が正しいのかもしれない。現在爪楊枝を製造しているのは河内長野市でも1社しかない。いや、日本でもその会社がただ1社残っているのみである。その会社の名は「株式会社広栄社」。創業大正6年、現在4代目の方が継いでいる。最盛期にはこの地域で作っている爪楊枝のシェアーは国内の96%、世界でも50%以上であった。

しかし、安い中国製品に押されて、現在では広栄社1社になってしまった。その前社長稲葉修氏とその会社を訪問してお話させていただいたことがある。爪楊枝はなぜ丸いのか、それは作りやすいからだそうである。使い捨て故、安く安くを追求して形は丸く、生産は中国でとなっていった。しかし、丸いのは本来「カクテルピィック」といって、果物等を刺すためのもので、歯に用いるのは歯のすき間に合わせた三角形をしているのが正しいのであり、ヨーロッパでは当たり前のことが、日本では激烈な価格競争のため丸になってしまったようである。

広栄社では、その三角楊枝を生産し、北欧に輸出までしている。その社屋は今も木造板張りの会社で、利益を生まない建物等へは極力コストをかけないようにされている。1本1円もしない製品で何銭・何厘の競争を経験してきたからこそ無駄を省く意識が高いように感じた。その三角楊枝も丸に比べて製造コストが高くつくため、以前は三角柱の形をしていたが、歯に当たる部分だけ三角形で持つところは丸といった形に進化させ、製造コストを下げている。これ以上のコスト削減は無理と考えるのではなく、もっとコスト・経費削減はできないかと常に考えておられる結果であろう。
 
 利益は会社を維持するための必要条件である。利益を出すにはいうまでもなく、売上を上げるか、仕入れ価格を下げるか、粗利率を上げるか、そして経費を下げるかこの4つしかない。安倍政権になって、景気は回復してきたといわれる中で、それを実感できない我々中小企業では、上記の売上を伸ばすのもままならず、デフレ脱却も目指すアベノミクス効果で、仕入れ価格・経費も上昇してきては利益を出すことすら難しくなってきている。即、利益に結びつくのは固定経費削減であり、雇用を守るためにも1円でも10円でも削減に取り組まなければならない。「たったそれくらい」と考えては絶対できない。たったそれくらいでも思いついたら即実行する。やり続けることで、固定費であるので毎月確実に減り、塵も積もればである。何より社内に無駄を省こうという習慣をつけることが大事なのである。

先に書いた広栄社でも、無駄な経費は徹底して省いておられるが、地域貢献、社会貢献には積極的に関わっておられ、地元の小学校の社会科の教科書にも紹介されていて、社員が誇りを持って働いている会社になっているのである。

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